思春期前期の患者の治療で留意すべきこと 川畑友二

①小学校高学年から中学生にかけてまったく悩みを持たない
子どもはいないであろう
親への依存状態から脱却して自立・独立への方向を
強く踏み出さねばならない時期である
心理的な成長を周囲に期待され身体的にも急激に
変化する時期であり、また性的な成長も著しい
大きな変化を伴う思春期の前半である
その変化は本人たちを大いに不安にさせるのだが不安は個人個人で
いろいろ姿を変えてゆき様々な思春期像として表現されるのである

②治療者が患者を診る行為の最中に彼らは批判的な目を持って
治療者を観察しているのである
見られているという治療者側の緊張感から患者に
おもねる態度をとったり必要以上に親しみを込めすぎるのは
結局『不安を表現するせっかくの機会』を患者から奪うことに等しく
患者の病理を見失ってしまう事になりかねない
・・・中略・・・
『どういう対応をするのか』という姿に常に治療者のあり方
(真剣さや誠実さ)が反映されており言葉で伝える以上のものを
我々は彼らに伝えているのであろう
学校に行くこと行かないことが本人にとっていかなる意味を持つのか
見立てもせずに『行きたくないのだから休ませなさい』と安易に
不登校を認めることも大いに慎まなければならない
これは治療者が患者との関係悪化を必要以上に恐れたり
自らの見立てに対する不安が原因と思われる

③子どもの治療では『患者に精神的なものであるという自覚が少なく
そのため本人の治療に対する理解や意欲が乏しい」と見られることが多い
しかし治療が進むにつれそれは表面的なことで実際は早くから
苦しみを自覚しており介入を望んでいたのだと気づかされる事も多い

彼らのあの態度は親や大人への不信感やまたしても拒絶されるのではないかという
強い不安から生じた表現であり、また大人と今さらながら面と向き合うことへの
照れや依存心がくすぐられその状態から脱却できなくなるのではという
自らの警戒心もあるであろう
それらについても治療者は意識しながら彼らの治療に臨むべきである

・・・・・児童精神科医として大切な事を非常に分かりやすい言葉で
表現されています・・・・・

<葉牡丹はキャベツの仲間です>