抗議行動としての暴力 青砥 恭より

2008年度に起きた小中高生の暴力行為は
確認されただけでも過去最多の6万件に及んだ
中でも中学生によるものが4万3千件で
『もう学校の手に負えない』と嘆く教師も多い
教員の精神疾患による休職が過去最多になり
精神的に追い詰められている管理職も多い

私は大阪の保育士から子どもたちの実情を聞き
貧困の中で暮らす子どもの様相を『ドキュメント高校中退』(ちくま新書)の中で書いた
この子達はその後も小学校や中学校で学校生活に適応できず
暴力や不登校を繰り返していた

あらゆる子どもの行為はそれが暴力であったとしても『学習』によって身についたものだ
貧困家庭に生まれ、家族から経済的、文化的な支援を得られない子どもたちが
中学に入り、2年、3年と進むにつれて受験レースから取り残され
仲間の内でのいじめや教師に対する暴力、学校の施設に対する破壊などを始める

私には子どもたちの暴力は社会から排除され、未来が見えない貧困層の
ぎりぎりのゆがんだ抗議活動のように見える
競争一本やりの学校を見直すこと、暴力のない、いつでも安心して帰っていける
居場所がなかった子どもたちを支援する地域のネットワークづくりと
学校に家庭の役割も備えた福祉的機能を持たせることを
検討することが迫られている

・・・・「児童虐待の世代間連鎖」ということが言われていますが、同様に
「経済的貧困の世代間連鎖」も防がなければならないのではないでしょうか
なぜなら子どもは生まれてくる親も家庭も選べないのですから
子どもには何の責任もないことで不利益をこうむることは著しく
人権侵害にあたると思います・・・・・・・・

<カランコエは小さな花です>