生きてごらん、大丈夫 「ゲド戦記」翻訳者 清水真砂子より

子どもの本に関わる人はうんと大人で
うんと子どもでなくちゃいけない

子どもだから黄金時代なんてうそばっかり
子どもぐらい縛られて不自由な存在はない
経済力がなく自由に移動もできない
閉じ込められた世界にいる

大人になればよろいを着ることを覚えるけれど
幼い子どもはよろいを持たず素肌をヒリヒリさせている
はぐらかす術も持っていない
そんな子どもが本を読む
現実よりもっとえげつない大人がいて、もっとすてきな大人がいる
『こんなに世界って広いんだ』と感じとる事ができる

すぐれた子どもの本は
『大きくなるって楽しい事だよ。生きてごらん、大丈夫』と
背中を押してくれるもの
『苦労してもなかなか幸福にならない主人公を応援していたつもりで
人生の予行演習をやっていたのかもしれない」

毎日帰りたくなるような家庭を作るのは至難の業
でも子どもはそんなにヤワではない
週に30分でもいい
『この親の子でよかった』と思えるような瞬間があればいい

現実には求めても光を得られないことがあるかもしれない
それでも『どうせ』と子どもに言わせてはいけない
言えば楽になるけれど希望を放棄させるということは
最もモラルに反する事

子どもの本がしてきたように、この人に出会えたから
自暴自棄にならずに済んだと思わせる一人に
この世につなぎとめる一人になって

・・・・・・本のない家は窓のない家と同じというそうです
本のなかに沢山の愛情と宝物が隠されているのかもしれませんね・・・・・

<サフランはハーブの仲間ですね>