思春期の性についてスタッフ研修を行いました

産婦人科医の丸本百合子先生を当会事務所にお招きして、
思春期の性についてスタッフ研修を行いました。
多くの子どもからの性の相談に乗ってこられた先生だけに、
貴重なお話を聞けて、大変充実した研修となりました。
先生からのアドバイスを参考に、
「思春期からの性と危機管理—心と体を守るために—」
ワークショップをよりよいものにしていきます。
以下は先生がお話しされた内容の一部です。

◎子どもと大人の違い
人間は動物と違って、体が大人になるだけでは
大人になったとは言えない。
次の4つのことをクリアして,初めて大人になったと言える。
①体が大人になること
②心が大人になること
 →自分で自分のことを決められる。周りの人を助けたり、考えられる。
 次の世代を育てることに対してビジョンを持てる。
③社会的に大人になること
④経済的に大人になること
 →人で暮らせる収入や子どもを育てる収入が持てること。
 しかし今の社会では難しくなっている。

◎セックスについて
※セックスに対するイメージの持ち方
男の子は、野性的なイメージを持ちやすいが、
女の子は、ロマンチックなイメージを持つ子、嫌悪感を抱く子など個人差が大きい。
性に対して積極的なイメージを持っている子は、性に対する情報を吸収しやすい。
一方、ネガティブなイメージを持っている子へ性を伝えるにあたっては、
「今はあなたに関係ないけど、人間の気持ちは変わりやすいから、
いつか必要になる時が来る」ことをあらかじめ言っておく必要がある。

※セックスについて子ども達に何を伝えるか
女の子・・・セックスには拒否する権利がある。女の子がはっきり言うことが大切。
男の子・・・セックスを拒否されたからと言って、愛していないという訳じゃない。
彼女の気持ちを大事にしよう。

◎愛情と暴力
※愛情とストーキングの違い
相手の気持ちを大切にし、いつも一緒にいなくても愛し合えるのが本当の愛情。
相手の都合を考えずに、自分の気持ちを一方的に押しつけるのは愛情ではない。
※暴力男を好きになった女の子への対応
暴力的な男であっても好きになった事実を否定せず、彼女の優しい気持ちを認める。
その上で、「あなたがまだ未熟のうちに彼を立ち直らせることはできない」というように、
彼と付き合うことは無理だとはっきり伝える。

◎性行動と避妊
・セックスについて、女の子は受身になりがちだが、セックスするしないは
自分が決めること
・セックスに走る子ども達の多くは、漠然としたイメージで行動していて、
そのイメージの中には避妊という流れが出てこない。
・コンドームは女の子が持っていてよいこと、
コンドームを嫌がる男の子は恋人としてふさわしくないことを伝える。
・コンドームを持たせると子どもがセックスに走るのではという誤解があるが、
実際は避妊を教えると性交年齢は遅くなる。

◎中絶
・命を摘むことを強調しすぎると、中絶せざるをえない事態になった時に、
その子がトラウマを抱えることになりかねない。
・中絶について子どもに伝えるときは、「赤ちゃん」という言葉を使わない方がよい。
・中絶は「体が間違った反応をしてしまったので、その体を元に戻す」こと

◎何を子ども達に伝えるか
自分を大切にしましょうというメッセージを子ども達に伝えることが重要。
また男の子に対しては、知識不足で女の子を傷つける例があること、
こういうことをすると女の子に嫌われるからしちゃダメだよということを伝える。

<ヤマユリの花がきれいです>