自殺する種子 内橋克人より

日本消費者連盟という組織があった
乱れゆく「食」「農」に鋭い警鐘を鳴らし続けた
竹内直一さんの偉業を忘れることが出来ない

竹内さんの運動を支え、今は亡き竹内さんの遺志を継ぐ
安田節子さんは「いのちの講座」というニュースレターを送り続ける
食・健康・環境が主題の毎号10ページの冊子には
遺伝子組み換え作物の危険、世界の食料・農業事情—
知っておかなければならない貴重な情報が溢れている

その安田さんが近著「自殺する種子—アグロバイオ企業が食を支配する」
(平凡社新書)に私は心が震えた
いま食・農の世界に何が起きているのか
あまりに無防備な日本の政治化、消費者の姿に気付かされる

第3章「種子で世界の食を支配する」の中に
「自殺種子技術」についての詳細な記述がある
「作物に実った2代目の種子には毒ができ
自殺してしまうように仕組む遺伝子操作技術」のことだ

ターミネーター技術(「植物遺伝子の発現抑制技術」)という
これを種子に施して売れば、種子を買った栽培農家が収穫できるのは1回限り
以後は次の年も次の年も種子を新たに買わなければ
農業を営み続けることができない
米国農務省と最大手種子企業が共同開発し、すでに米国特許は成立済み

生命循環を断ち切り「種子」そのものの意味を否定する
誰が利益を独り占めするのか
安田さんの警鐘は世界の怒りでなければならない

<八十八回も手間を掛けるから米という文字だそうです。
だから昔の人はご飯をこぼしたり、残したりするのはもったいないと
言ってましたね>