THE BIG ISSUE JAPAN 161号より

自閉症の僕が生きていく風景 東田直樹

僕はとても弱虫です
どこにいても何をしても、いつも人におびえています
それがどうしてなのか、ずっと考えてきました

僕が障害者だからなのか、それとも性格が内気なためなのか
今でも答えは出ていません
ただこれまで18年間生きてきて気づいたことがあります

それはどんなにがんばっても僕は僕以外にはなれないということです
障害者が健常者になれないということではありません
僕はあくまでも僕であって他の誰かにはなれないということです

人前で見せる姿というのは本当の自分でしょうか
僕は本当の自分というのは自分だけが知っているものだと思うのです
それはどこで形成されるのでしょう
生まれつきもっている性格なのかもしれません

しかし多くは育った環境によって決まるのだと思います
人は家族や周りの人たちに支えられて生きています
それは障害の有無に関係ありません
周囲の人たちのせいで障害者になったわけではないからです

僕を大切にしてくれて心から愛してくれる人たちのおかげで
今の僕が存在しています
そう考えると僕の弱虫も違う角度から解釈することができます

僕は自分が人におびえていると言いましたが、それは僕の思い込みで
愛する人のためにも今以上に期待に応えたいという
気持ちの表れではないかと気づきました

<ツクシンボをみつけました>