3・11から 人生を語り直そう 鷲田清一より

よく『自立』ということが言われます
この思想は勘違いされてきたと思います
それって『独立』、つまり人に依存しないことでしょ

でもね、人間の社会は分業で成り立っている
まるごと一人でできるものなどありません
ふだんは税や料金を支払いプロによる社会サービスを受けるわけだけど
いざとなったら身の回りで助け合う
そういう相互支援のネットワークを使える用意があること
これが本当の『自立』です

幸福って、いじわるです
幸せな時には分からないでしょ
失ってはじめて大事だったと分かる
だから、失う前から『絶対なくしてはいけないもの』
『あってもなくてもいいもの』「なくてもいいもの」を
日頃から仕分けしておいたほうがいい
私はそれを『価値の遠近法』と呼んでいます

夏の電力不足を考えたら、みんな「なくてもいいもの」を
一生懸命に選び出すでしょう
その時『絶対になくしてはいけないもの』
つまり幸せもきっと見えてきます

<オダマキが咲きました>