日本の新たな百年の計 3・11後の自然エネルギー転換

飯田哲也(環境エネルギー政策研究所長)より

3月11日、M9という未曾有の巨大地震が東日本を襲った
この日は明治維新、太平洋戦争に次ぐ日本の第三の転換期として
歴史に刻まれることだろう

これまで日本のエネルギー・原子力政策はエネルギー安全保障でも
温暖化対策でも明らかに失敗してきたが
政官業の『古い構造』のために揺るがなかった

しかし地域自立型の自然エネルギーを柱に据えた新しいエネルギー政策、
戦略的エネルギーシフトへの転換を図るべきだ

自然エネルギーは人類史上で農業・産業・ITに次ぐ『第四の革命』と
呼ばれるほどの急成長を遂げつつある
短期間で建設できるため速効性があり、
地域にエネルギーと仕事と経済をもたらすことができる

20年までに自然エネルギーを倍増させるドイツに倣えば
日本も電力に占める自然エネルギーの割合を現状の10%から
20年までに30%に増やすことは十分に可能な目標である

日本でも自然エネルギーの導入可能性は膨大にある
最新の調査では今の日本の電力量の何倍にも及ぶ自然エネルギーを
現実的に導入できるという結果が得られている

にもかかわらず日本で増えなかったのは、資源の制約でも
技術が未熟だったからでもない
独占を維持したい電力会社が地域分散型自然エネルギーの増大を嫌ったこと
そして原子力と化石燃料に傾斜しすぎた政治と政策の失敗が
もたらしたものだ

つまり政治と政策を変えれば飛躍的に拡大することができる
これに利便性を損なわない『節電発電所』を組み合わせれば
50年にすべて自然エネルギーに転換することは達成可能なビジョンである

明治維新は富国強兵に化け、敗戦で崩れ
太平洋戦争敗戦は経済成長至上主義へと化け、原発震災で潰えた
今度こそ3・11の悲惨極まりない出来事を希望の未来へと活かすには
そうした地域と自然エネルギーを軸とする
日本の新たな百年の計を立てることだ
それは国民に対する政治の責任である

<昔の人は田んぼのレンゲソウはすき込んで肥料にしたそうです>