発達障害の子どもたち 杉山登志郎より その3

自閉症の社会性の障害とは、人と人との基本的つながりに
生まれつきの苦手さがあるということに他ならない

赤ちゃんのそばに近づくと、ぱっと赤ちゃんの目が飛んできて
じっとこちらを見つめるのを経験した方も多いのではないかと思う

特にお父さんお母さんに対しては目が合えば必ずにっこりと微笑むのであるが
見ず知らずの人に対してはじっと見つめるところまでは同じであるが
ワーッと泣き出してしまう

またお父さんやお母さんが赤ちゃんを置いたまま行ってしまおうとすれば
追いかけ、泣き声を出して追いすがろうとする

自閉症の場合には、このような一連の愛着行動に大きな遅れが認められる
まず目が合わない。後追いをしない。
それどころか歩けるようになると平気で親の元を離れて突進してしまい
親のほうが追いかけていかないと迷子になってしまう
人見知りもほとんど見られない

自閉症の社会性の障害とは、筆者なりに圧縮すると
「自分の体験と人の体験とが重なり合うという前提が成り立たないこと」
とまとめることができる

普通の赤ちゃんは1歳半ぐらいになると何か新しいものを見つけたときに
お母さんの目をまず見る。
お母さんがそれを見ていなければ手で示し声を上げてお母さんの注目をひきつけ
お母さんが一緒に見つめていることを確認して笑ったり喜んだりする

つまりこの行動は注意と感情とを赤ちゃんとお母さんが共有している姿に他ならない
自閉症児の場合はこの一緒に見る、一緒に喜ぶといった行動が著しく遅れる

<庭梅の花が咲いて小さな実がなりました>