反核保守 竹田茂夫より

約40年前、ドイツでほぼ同時に2つの反核論が上梓された
ユダヤ系思想家ハンス・ヨナスの「責任という原理」と
カトリックの哲学者R・シュペーマンの論文である

両者とも進歩や技術への盲目的信仰を批判し、こう論じた
原水爆・原爆の核の技術や遺伝子操作などは
地球規模の予見不可能な副作用を及ぼしかねない

最悪の場合将来世代の生存を危うくする
だが乳飲み子はそこにいるだけで生存の権利を訴えている
未生の子孫にも健全に生きる権利がある

現役世代は彼らに一方的責任を負っている
これは意志疎通による合意や互恵を図る契約とは全く別の政治倫理である

この思想はチェルノブイリを経てドイツの反核・環境保護運動の底流となり
福島の事故で再浮上し、南西ドイツの州議会選での
緑の党の勝利、首相メルケルの脱原発への方向転換
それを国民の合意とした倫理委員会などで大きな役割を果たした

日本の保守というと、国益・国防を言い立てるだけの連中
対米追随を唯一の解とするレアル・ポリティーク派
破壊はするが創造しない市場原理派などの
政治的保守や体制順応主義しかないのか

田中正造、宇井純、高木仁三郎、石牟礼道子等は少数派にとどまり
保守は彼らの思想と没交渉だったように見える

<ねむの木の花が咲いていました>