食卓から見える世界

「食を考える」 佐藤洋一郎著より

まずはクイズから
天ぷらうどん1杯を作るのに必要な水の量は?

ゆでるお湯、おだし、天ぷらの種や薬味のネギを洗う水
あれこれ足してバケツで4杯ぐらいかな—と思えば
これが大間違いで答えは『お風呂の湯船に1杯分』

原料の小麦を育てるのに大量の水がいるからです
さらに牛丼だと1杯を作るのに1トンを越す水が必要な計算です
牛が穀物などの飼料を食べますからね

問題は世界中で小麦の栽培される地域が
もともと水の少ない地域であること
そこで暮らす決して豊かではない人たちの水を
豊かな先進国の私たちが奪っている構図です

『食を考える』というストレートな書名を掲げる本書
水や食糧をめぐるこうした不公平をはじめ
現代の人間が食べて生きていく上で
避けて通れない問題を考えるヒントに満ちている

なかなか目には見えませんが日本の食は危機的状況にあります
研究者だけではなく社会の人々の現実的な知恵を
総合して考えないと解決しない問題です

<フジバカマも秋の七草です>