いじめ その後遺症 −体験者の話で考える−

「いじめはこんなに辛いんだ
いじめが終わっても終わりじゃないんだ」

平成12年11月24日20代のA子から
電話がかかってきた

「突然の電話ですみません。先生に中1の時に
国語を教えてもらいました。私は中3のときに
いじめを受けました。会って話を聞いてもらいたいんです」

A子は中3の時男子10人くらいから「ブタ」と言われた
席替えでは隣に来た男子に「最悪」と言われた
3学期に担任の先生に「助けて欲しい」と訴えた

担任は「明日の帰りの会で今の気持ちをみんなに伝えなさい」と
アドバイスした
涙ながらにクラスで訴えたところ、その後いじめはなくなった
でもいじめていた子は謝ってもくれなかった

高校に入ったら何もなくなった。やっと楽になった
ただ「太っているといじめられるんだ。とにかくやせよう」と思った

高校3年間の食事はヨーグルトとレタスだけ。食べたら吐いた
「食事をするというより、食べて食べて、その後は胃の中のものを胃酸が出るまで吐く
だけ」54キロの体重が40キロになった

弟から「お姉ちゃんもっと太った方がいいよ。ちょっと気持ち悪い」と言われたが
A子はこの言葉を少し誇らしく思った

専門学校を卒業して就職した。突然仕事中に倒れた
しゃべれない、歩けない。トイレにも行けない。妄想と幻覚
何もかもが不自由になった

摂食障害から顔面麻痺,歩行障害,不安神経症、対人恐怖症、強迫性障害、うつ、
無気力、自殺願望と続いた

「いじめられている時よりも、その後の方が辛い。辛い気持ちを抑えつけているうちに
その抑えがきかなくなり、心の病になってしまう」と言った

東日本大震災から1年後の3月11日
がんばっている被災者の映像が流れた。A子はそれを見て勇気が出た
「自分も一歩踏み出さないと何も変わらない。こうなった理由は中学校のいじめだ」

そう思っていじめていた人たちに電話して自宅に呼んだ
「いじめの理由を聞いたら『特に理由はなく面白がってやった』と言われました
泣きながら謝り続けてくれて土下座までしてくれたんです。
気持ちが充分理解できました。心のとげが抜けたような気がしました」

・・・・・その場のみんなのノリで面白半分で人をいじめることがよくありますが、
その結果何年たっても相手の心に傷が残り、その人の人生そのものまで
狂わせてしまう、そんなことは人として許されないことです・・・・・・・・・

<はすの花が咲きました>