いじめ・体罰:解決への手がかりを探る

〜子どもの人権擁護の観点から〜

人権に関する国家公務員等研修会(前期)に参加しました
場所は虎ノ門のニッショーホール
主催は法務省人権擁護局と人権教育啓発推進センター
講師は社会事業大名誉教授 山下英三郎氏

以下は要約です

子ども達の現状として1970年〜2011年までに
小中高校の在学者数は8,452,868人減少しているにもかかわらず
不登校、暴力行為、虐待などが桁違いに増加しているのは
様々な対策が効果を挙げていないのではないか

スクールソーシャルワーカーは1970年代にアメリカで校内暴力が
多発したことがきっかけで取り組まれるようになった
日本では1989年研究グループが発足し
2008年文部科学省が活用事業を始めた

スクールソーシャルワーカー(SSW)とスクールカウンセラー(SC)の違いは
SCは子どもの内面に焦点を当て問題解決を図る手法
SSWは子どもの環境に焦点を当て環境との調整に力点を置き問題解決を図る

従来のアプローチでは問題に焦点をあて問題の個人還元化が図られ
社会的要因の不問があった

新しい包括的アプローチでは人と環境の交互交流に注目し
環境を調整し、人にエンパワメントを与え合う

修復的対話について
これまでの反省点として大人社会が子どもを分断化し孤立化してきた
例えばいじめの対応も被害者には慰めやカウンセリング
加害者には叱責、懲戒、出席停止など

これらの伝統的アプローチでは一方的に規則違反や過去に焦点をあて
行動の改善を目指したがニーズとのずれがあった
修復的アプローチでは双方向的に関係の構築や現在及び未来に焦点を当て
関係の改善を図る

修復的アプローチは決して新しい手法ではなく
むしろ伝統社会におけるトラブル解決法である
例えばネイティブアメリカン、ハワイ先住民マオリ族、アフリカのネルソンマンデラなど
当事者が主体になり解決のプロセスに参加し、声をあげる場を保証する

1996年アメリカ、2000年カナダ、1999年ニュージーランド、1994年オーストラリア
2002年英国などで取り組まれている

この対話の意義は被害サイドには語ることによる癒やしの効果
加害サイドには自らの行為の影響を知ることによる反省の念
双方に関係再構築の可能性に対する安堵感や開放感が得られる

具体的にはメンバーは3人から10人ぐらいで1時間以上かける
ファシリテーターの力量は必要で中立的立場であること
二次被害を生まないことが重要である

・・・・・・対話のパワーを信じること、話し合いの訓練が大切とのことだったが
私達日本人は素直に充分に話し合いを深めることに不慣れなので
日頃からのトレーニングが大事だと感じました・・・・

<ハナトラノオが咲きました>