愛と勇気のメッセージ やなせたかし

海彦・山彦 

<前略>
ぼくは今でも
海をみるたびに
かなしみとなつかしさのいりまじった
心になる
海彦
千寿
おとうとがそこにいる
つぶらな眸をして
いくぶんかまぶしそうに
はにかみながら
おとうとがそこにいる
ぼくはいまだに生きながらえているが
海に指をひたせば
その海の中に
おとうとがいる
海彦 
 (おとうとものがたりより)

・・・・・特攻隊員だった弟は戦地に向かう途中、輸送艦ごと撃沈されて戦死した・・・・・

絶望のとなり

絶望のとなりに
だれかが
そっと腰かけた
絶望はとなりの人に聞いた
「あなたはいったい誰ですか」
となりの人はほほえんだ
「私の名前は希望です」
 (希望の歌より)

・・・・5歳のとき単身赴任中の父が中国で病死。弟は叔父の養子に。その後再婚する母と別れ7歳で叔父に引き取られた。兵隊時代には食料が乏しくなるとタンポポなどの
野草を食べていた。「人間にとって最もつらいのは飢え」そして54歳で「ひもじい人にパンを差し出す」アンパンマンが生まれた・・・・・・・

ぼくは
人が笑うのを見るのが好きだ
馬も犬も笑っているように見える時もあるが
人間のように
声をたてて
涙をこぼして笑わない
人がいちばん人らしいのは
笑う時だ
だからぼくは人が人らしく
うれしそうに笑う声が好きだ
<以下略>
 (わたしが正義について語るならより)

<カラスウリが赤くなりました>