少年犯罪 からだの声を聴かなくなった脳 瀬口豊廣より

・「群れ」を成すのが動物の本能だが
それによって個の集団からの逸脱を防御しているなら
本能ではなく、文化と理知によって行動を規定する人間は
「群れ」すなわち集団の持つ功罪を見極めることで
「逸脱」する個(子)の気持ちを推し量り
個に即した働きかけと見守りが必要なのではないか

それ以外にも子どもたちは、弱いものはいたわり続けなければいけない
といった様々な規範で縛られる
大人が現実に成しえていない規範を観念的に押し付けられる子どもは
その大人社会の矛盾と落差を体感するがゆえに
既存の道徳や規範に侮りを見せるのである
親や教師の言う事をよく聞く真面目な子どもが
「いじめ」の標的にされやすいのは、このような理由もあるのだろう

・スナック菓子についていえば、
1973年の生産量が6万トンで1988年には23万トン、
清涼飲料水は1960年におよそ49万トン、1987年に1419万トン
自動販売機のジュースの缶が250ccから350ccへ
気になるのはその中に含まれる砂糖の量である

1缶250ccの清涼飲料水にはおよそ30グラムの砂糖
約1割強という勘定だから350ccなら40グラムくらいだろう

砂糖はブドウ糖と果糖になって吸収され体液を酸性に傾ける
それを中和するのが予備アルカリとしてのカルシウムである
またビタミンB1が不足していると完全燃焼できないブドウ糖が
焦性ブドウ酸となって体内を循環し
大脳にたまると物忘れやイライラがひどくなり
カルシウム不足と相まって神経過敏な状態をつくりだす

・女性の体にストレスをあたえるものとしては
職場のOA化に伴うパソコンなどから出る電磁波もその1つだが
目に見えにくいものとして合成洗剤やシャンプーなどに含まれる界面活性剤がある
界面活性剤とは、同じ容器に入れると分離して本来はなじまない
水と油をなじませる化学物質である
この物質には水と結びつきやすい成分(親水基)と
油に結び付きやすい成分(親油基)を両端に持っていて
汚れなどの油成分と親水基が結びつくことで汚れを落とす仕組みなのである

この毒性は発がん物質にとどまらず、赤血球破壊、タンパク質変性作用
催奇形性などが動物実験で報告されている
これは乳化剤としてマーガリン、キャラメル、アイスクリーム、チュウインガム、
インスタントラーメン、マヨネーズなどの食品に添加されているが
その他、食肉、魚肉製品の艶出しにも用いられている
この毒性は口から入るものよりも皮膚から吸収された物のほうが
極端に排泄されにくく体内に蓄積残留する

1990年7月13日朝日新聞夕刊では次のように報道された
「高濃度の合成洗剤はヒトやマウスの精子の受精能力を阻害することが
大阪大学医学部産婦人科と放射線基礎医学教室の実験で分かり
12日に三重県四日市市で開かれた日本受精着床学会で発表された」

・人間の体の動きは複数の筋肉の伸び縮みの巧妙さと連動によって成立する
これは動物でも同じことである
心臓も拡張と収縮を途切れることなく反復することで
血液を全身に送り出すことが可能になる

生命というものはこの様に、拡がったり縮まったりというような正反対の運動を
交互に行うことで、機能の十全さが保障されているといってもいい
消化器系の胃腸にしてみても食物の摂取と排泄の繰り返しの中で
生命の維持に関与している

体の生理(機能)がそのようになっているということは、精神の安定も相反する働きの
交互作用が円滑に流れているところに培われていく
たとえば内面に発生した憤怒や悲哀や苦悩といった「負」とされている感情は
何らかの形で外へと排出(表現)しなければ鬱積して
思いもかけぬような感情の爆発をまねくものであるし
また喜悦や至福、歓喜といった『正』の感情も
それを最も身近な親しい人と共有したい思いに駆られ
分かち合うことでより感情は増幅して情緒を豊かにもする
すなわち身体の生理や感情は入力と出力の調和が保たれているところに
人間としてのトータルな意味での健康や人格の成熟があるといえる

<モチノキは赤い実がなります>