いじめとは何か 教室の問題、社会の問題 森田洋司より その6

*規範から生まれるいじめ
・規範作用とは、集団の中で発生する問題行動を
コントロールする社会や集団の働きである。
ここでいう規範とは法律や規則だけではない。
価値観や倫理観、イデオロギーなどの信念体系、
慣例、慣習・習俗、ときには流行現象すら規範となる。
私たちの日常生活はこうした規範という
被膜に覆われて、秩序を保っている。
私たちは、この被膜を上下左右にはみ出す行動を
問題行動とか、逸脱行動とか、場違いな行動だと考え、
時には腹立ちをもって認識し
非難や制裁などの否定的な反作用を行使する

・規範に裏打ちされた「正義の御旗」が立てられているだけに
いじめられる側にとっては逃れがたい。
いじめた理由を子どもたちに尋ねると、
自分勝手だ、わがままだ、作業が遅くみんなに
迷惑をかけている、いつも忘れ物をする、ルールを守らない
清潔でない、変わった癖があるなどの理由を挙げてくる

・ところで、日本は横並び社会だから、
人と違った行動を排除することが多く
それがいじめにつながっているという指摘がしばしば見られる
しかし、これらのいじめは日本固有の形態として捉えるよりも
人間社会共通と考えた方が良い

・確かに私たちの社会では、子どもも大人もバッシングに
巻き込まれまいとして集団の場面ではできる限り
無難な行動を選択する傾向が見られる
それが日本固有の形態に見えるのは、
1つには集団の斉一性への圧力が強く
個性的な行動が現れにくい雰囲気があったり、
力の乱用に対する抵抗力が比較的弱く、
「長いものには巻かれろ」といった意識が潜在的に働いたり、
あるいは日常生活の秩序の境界をはみ出す行為への
統制作用が比較的強いという日本社会の特質が影響しているからであろう

<ロウバイは不思議な花です>