紙つぶて 生命はくじけない 稲垣栄洋より

3月6日は啓蟄でした
啓蟄は二十四節気の一つで
春を待ちわびた虫たちが
はい出てくる日であるとされています

しかし、時に生き物たちの営みは
非情さにさらされます
四年前の春、未曽有の大災害が人々を襲いました

それでも再び春がやってきます
そしてまるで何事もなかったかのように
花は咲き、鳥や虫たちは春を謳歌するのです

ただし、のんきに見える春の生き物たちも
何気なく生きているわけではありません

植物も動物も鳥も魚も昆虫も、微生物さえも
地球上のすべての生命が強く生き抜こうと
力の限りを振り絞っています

そして私たちもまた「強く生き抜く生命力」をもつ
生物の一員なのです

私たちは他の生き物のように単純には生きられません
生きる悩みもあれば、苦しみや悲しみもあります

しかし脳がどんなに生きる希望を失っても
心臓は鼓動を打ち続けますし
ひげや爪は伸び続けます

心が沈んだり、心が折れてしまったように思えても
生命は決して生きる希望を失うことはありません
生命は決してくじけないのです

太陽が昇る限り、何度でも春はやってきます
そして、季節が巡る限り、すべての生き物たちは
今日一日を生き続けるのです

<スイセンの花が咲いていました>