日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか その6

児童精神科医の現場報告 古荘純一

情報化が加速した現在、子どもたちも過剰な情報の中で生きています
子どもたち自身が世の中の急速な変化に取り残されてしまう危険を感じ
自分の努力だけではどうしようもない勝ち負けが社会に存在するという
考えを持つようになっていると感じます

それでもなお希望をもって生きる力を保つためには
自分の存在を受け入れてもらえるという自尊感情を持つことが必要です

いじめはあってはならないことですが、いじめにあった子どもの中でも
苦境を乗り越えた子どもたちは「人がどう言おうと自分が好きだ」
「自分が自分の学校に行って勉強する権利は誰にも侵害されない」
というプライドを持ち続けています

いじめられて自尊感情が保てない場合には
その自尊感情のなさを他人に転化しようとして
新たないじめの加害者になってゆくケースも見られます

もちろん、そのように他人に転化してしまうケースよりも、
自責の念や無力感に悩まされてしまう例のほうが多く
究極の結末である自殺に追い込まれていくケースもあります

自尊感情が保てないまま、成人・青年期を迎えることも心配です
自分自身のことに自信が持てないまま、親となって子どもを育てるのは
容易なことではありません

<ノアザミが咲いていました>