日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか その11

児童精神科医の現場報告 古荘純一

そしてこうしたどの学校でも、子どもたち1人1人は自分の発達の段階や
学習の進度に合わせた課題に自発的に取り組むことができます
皆が同じである必要はなく、むしろ、それぞれの子どもがその子なりのペースで
学習に取り組み、達成感や自信を味わうことができます

子どもは1人1人、自分の発達に関するファイルを持ち
定期的に指導者によりモニタリングを受けます
もちろん、少人数でグループ学習に取り組むこともあります

それぞれの先生は教室に常駐していて教室が自分の職場、という感じです
職員室のような場所はありません。教師は教育に専念することができ
事務的な業務に時間をとられることはほとんどありません

こういった教育をほどこしていると、おのずから、自分がどういう行動を
とったら人に喜んでもらえるのか、自分の良いところはどこで、
これから何を学んでいけばいいのか、ということに子ども自身も
気づいていくことができるのです。

一律に教育するよりも一見時間がかかるように思うかもしれませんが
長い目で見ると非常に効率がいい教育だということが分かりました

こうした考え方は、子どもに一斉にテストを課して、
平均点を引きあげるように指導しなければならない、
という日本の発想とは全く異なることが分かるとおもいます

日本では8割以上の子が学校がストレスであり、行きたくないと
答えるとの報告もあるのです

子どもに対して一斉に授業をしていくことに、もう限界が来ているのだと思います