日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか その14

児童精神科医の現場報告 古荘純一

最近、子どものうつ病の増加が報告されています
かつてうつ病は「子どもにもあるのかないのか」という議論がされた時期もありました
われわれの調査から推測すると約5%の中学生が
うつ病の可能性があるということになります
この数字は一般的な認識よりかなり高く、危惧すべき状態であるとおもいます

一般に良抑うつの強い子どもは、幼少期から神経質な性格であったり
幼児期の養育の問題やトラウマ体験を持っている傾向があります

しかし抑うつが明らかになるのは10歳ごろの対人関係のつまずきが
契機になることが多く、自尊感情が落ち込んだ状況が長く続くことが特徴です

自傷行為は思春期に出現することが多く、わが国では平均14歳前後と
言われています
しかし、自傷行為のみでは医療機関を受診しないことも少なくないため
実態の把握は容易ではありません。

最近では中学・高校生で自傷行為を経験した生徒が増加していることが
指摘されていますが、何らかのトラウマ体験と低い自尊感情が背景に
あることが推測されています

先にも述べましたが、いじめや虐待を受けている子どもは、
その子の低下した自尊感情を回復するために、
より弱い者にその抑圧されたきもちを向けることがあります

ですから、いじめの解決のためには、いじめを行っている子自身の
自尊感情にも目を向ける必要があるのです

<カモミールの花が咲きました>