うちのめされるようなすごい本 米原万理より

「戦争の考古学」 佐原真

戦争は果たして人間の本能なのか
まず、ある時代に戦争があったかどうかを考古学的に
確認するチェック項目として

①壕や防壁など防禦施設を持つ集落

②人の殺傷を専用とする道具=武器

③殺傷痕のある大量の人骨

④武器を副葬した墓

⑤武力崇拝を示す祭りの道具

⑥戦いや戦士を表した造形作品の存在など、と明らかにする

縄文時代の遺跡には、狩猟のための武器で人を殺めた痕跡はあるが
最初から人を殺す目的で造られた武器が発掘されるのは
弥生時代の地層からであるという

家庭内暴力や仲間内の諍いなど、暴力の起源は
人類の歴史と共にあったかもしれない

しかし、戦争を想定させる集団同士の徹底的な大量殺戮の痕跡が
世界各地で考古学的に確認されるのは
食料採集移動生活から定住化して富を蓄積するようになってからのことである、と

人類が誕生してから「450万年の経過の中で8000年という戦いの歴史
それは翻訳すると4.5メートルの中の8ミリ」に過ぎない

「戦争は神が創造したもうたものでは決してなく、悠久の歴史の中で
人間がごく『最近』創り出したものである」
「人間が創ったものであるからには」捨て去ることも可能だ、と

<センニチコウが咲きました>