THE BIG ISSUE JAPAN 268より その2

「原発維持」のため電力会社の責任を軽減?
原子力委員会で審議開始—伴英幸

住民に被害をもたらす原発事故が起きたときに
誰がこれを償うのか?

原子力損害の賠償に関する法律は1961年に制定され
「原子力事業者以外のものは、その損害を賠償する
責めに任じない』と原子炉メーカーを免責している

製造物責任を問えないのが原子力分野なのだ

一方、法律は電力会社が賠償責任を負うことを明記している
しかし、これを見直そうという審議が原子力委員会で始まっている

これまでは電力会社の無限責任を定め
免責事項は「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」としてきた

そして、原子力損害賠償支援機構法
(2011年8月、後に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に改正)
が成立し、政府は東電が賠償を支払うために必要な
資金の交付などを行っている

これまでに東電が払った賠償額は5兆212億円であるが
未払い分や政府が立て替えている除染費用(2兆5000億円)
事故収束日(2兆2000億円)などを合わせると12兆円に達する

今回の原子力委員会の見直しは大きく2つの方向が考えられる
「無限責任をやめ、上限を決める」または
「賠償の範囲を限定する」である

ロボットなど廃炉研究開発は政府の資金だし
立て替え除染費用に返済義務がないなど
現状は後者での対応だ

結論がどちらになっても電力会社の負担を軽減して
原発を維持するための見直しである

結果、そのつけは私たちにまわってきて負担が増える
それでいいのだろうか?
脱原発へ舵を切ればそうした負担は免れる

<ヒメツルソバが咲いています>