気になる新書 むのたけじ「日本で100年、生きてきて」

渡邊十絲子より

年をとった人の話は、どんな内容のものであれ
無条件に聞いておくべきだ

まして100歳のジャーナリストが日本社会を語った本ならば
読まない手はない
政治的な立場がどうこうと気にする人もいるだろうが
食わず嫌いはやめて聞きましょう

「聞く」というのは「相手の言いなりになる」とは全く違う
「自分とは異なる意見を、相手の話したいように話させる」能力は
その人の知性と完全に比例します

つまり、わあわあ言って相手の意見を封じてしまう人は
知能が低いってことです

まあしかし、この本で著者が語っているのは「希望を持て」ということと
「そのためには自分が行動しなければだめだ」ということなので
政治的な立場などは気にならないと思う

希望とは誰かが与えてくれるものではない
それは誰にとっても同じことである

著者はこんなふうに言う
選挙に行かないならそれなりの責任を負うべきだ

投票率が8割に満たない選挙は何度でもやりなおそう
たとえそれで行政が滞って困っても国民の責任としてやりぬく

また自分が投票した候補には、自分の要求を書いたハガキを出す
5万票とった人なら「おまえはこうやれ」と書いた5万枚のハガキが届く
国民の要望を実感してもらうための工夫である

ばかばかしいと思う人は、高みの見物がカッコいいことだと
誤解しているのだろう
でもわれわれは「賢い消費者」ではなく「誠意ある生産者」にならないといけない

泥臭い実態を一人一人が積み上げていくしかない

<ノコギリソウが咲いていました>