根本昌幸より「柱を食う」

その人はどうしようもなくて

牛を餓死させてきたと言った。

可哀想なことをしたが

仕方がないとも言った。

そして一枚の写真を取り出して見せた。

それは牛が柱を食った写真だった。

餌がなければなんでも食うだろう。

この写真は自分を戒めるために

離さずに持っているのだとも言った。

これはどういうことなのだ。

牛よ

恨め恨め

憎き者を恨め

お前を飼っていた者ではない。

こういうふうにした者たちを。

柱を食って死んでいった牛たちよ。

どうか迷わずに天国へいってください。

なむあみだぶつ

なむあみだぶつ

なむあみだぶつ

なむあみだぶつ

ああなむあみだぶつ