真剣に話しましょう 小熊英二対談集より その2

歴史研究をしていた者の意見として言えば
日本の法律というのは西洋法体系を
導入してはいますが、根本のところでは
「法律は作るが行政を縛らないでもらいたい」という
考え方があったのではないか、とさえ思えます

そもそも明治時代に、帝国議会や大日本帝国憲法を
作った最大の動機は、西洋列強から文明国として
認知してもらって、不平等条約を改正することでした

西洋法体系に基づいた憲法があって議会がある国というのは
19世紀後半の時点では欧米以外だと
日本とトルコしかなかった

法律で人権を守りたいから憲法や議会を作ったというより
西洋法を導入した文明国であるという体裁を整えないと
条約改正に差し支えるという問題があったわけです

今でも日本政府は人種差別撤廃条約や
女子差別撤廃条約を批准はするが
国内法の整備は熱心とは言えないという姿勢で
国際的な体面を整えるためだけだったのか
と批判されていますね