「世界で1番貧しい大統領」と呼ばれたのは
南米ウルグァイの大統領を昨春まで務めた
ホセ・ムヒカさん(80)だ

もっともご本人は
「私は貧しいとは思っていない」と言っている

ムヒカさんによれば、貧しい人とは
ぜいたくな暮らしを際限なく求め
欲の奴隷となって働きつづける人

逆に「質素でつましい生活をすれば
自分のしたいことをする時間が増える
それが自由だ」と話す

自由。
この人が語るこの言葉には
特別な重みがある
彼は反政府勢力の幹部として捕れえられ
10数年間も獄中で過ごした

地面に穴を掘った独房に入れられ
1年余も体を洗えなかったこともあるという

それは狂気と闘う日々だったという
ムヒカさんは口に石を含み叫びだす衝動を抑えた

穴に入り込んでくるカエルやネズミとパンくずを分け合い
彼らを友とすることで孤独をいやした

そんな極限の生活を体験したからこそ
地球の資源を食いつくすような大量生産、
大量消費の虚構が見えたのだろう

初来日したムヒカさんは
「私たちは多くの富を抱え、技術も進歩した時代に生きている。
しかし私たちは幸せに生きているのか」と語りかけた

5年前の春、大震災と原発事故の不安の中で
多くの人が「足るを知る」ことの大切さを感じたはずだ

それを忘れてはいまいかと
ムヒカさんは問いかけているようにもみえる

<カイドウの花が咲きました>