人はなぜ「いじめ」るのか 山折哲雄・柳美里(著) その3

生野照子・山岡昌之・鈴木真理(編)

・「イツメン」ー「ひとり」になれない女の子たち

今の日本人はなかなか本当の意味での「ひとり」になれない
つまり、周囲との関係を内在化して「内なる繋がり」を確信できるようになると
周囲から支えられているということも実感できるようになり
はじめて安心して「ひとり」という構えをとることができるのだけれど
日本の国というのは繋がりをすごく重んずる風土だから
しばしば繋がりが強制されたりする

だから、内的な意味での「ひとり」を確立する以前に、まずは外見的な繋がりを
たくさん作らねばいけないような焦りが生まれたりします
その時点で「ひとり」という意味が変わってしまって
「ひとりぼっち」というネガティブな意味になってしまう
「ひとりぼっち」って「ひとり」とは全く違って、皆から落ちこぼれることで
じぶんの内的世界までがらんどうになってしまうような感じがあるのです

「ひとり」が充実感だとすれば「ひとりぼっち」は空洞感ですね
だから「ひとりぼっち」を避けるためには、心への他人の侵入を許す
他人に心の場所を明け渡す、みたいな感覚が出てくる
つまり乗っとられ感です。だから誰しも繋がりたい気持ちはあるんだけれども
でも本当に繋がるのは結構重いし不安だと思うんです
結局、「軽く繋がっとこ」みたいなところで落ち着きますね