現代のエスプリ いじめの構造より その1

学校メンタルヘルスから見たいじめの実態 小林正幸より

・森田は先進数ヵ国のいじめ国際比較調査をおこなっている
その結果を見ると、わが国のいじめの特徴として
第一に、いじめの場が教室外よりも教室内で行われる場合が多い
第二に、多人数で少数をいじめるタイプが多い
第三に、親密に遊ぶ相手からいじめを受ける場合が多い
第四に、いじめの被害者が加害者に移行するなどの立場の
変化が少なくいじめ関係が固定化しやすい

・外国では中学生以降の年齢段階から仲裁者の割合が増える
傾向があるのに対し、わが国ではこれと逆の傾向が示されていた
すなわち、わが国では中学生の年齢段階以降も仲裁者が
減少し、傍観者が上昇し続ける。中学生以降でいじめが
長期化しやすい傾向も示される

・いじめの方法、手口を見ると、どの国も共通で「悪口、からかい」が
1番多く見られた、これを除くとわが国では他の国に比べて
格段に「無視」や「仲間外し」が多い

・いじめの事実についてそのことを教師が知らない割合は48%
保護者が知らない割合が53%
クラスメートが知らない割合が35%
一方でいじめられてもその被害を誰にも言わない割合が34%
他国が20%台であった

・いじめ問題は、人間が集団で生活する限りはなくなりにくい問題だろう
であるのならば、集団生活を前提とする学校の中では
いじめそのものが消失するのは難しいのかもしれない

したがって、学校は「いじめの根絶」という理想を掲げ
それを追及するのは望ましくない。むしろ、いじめ問題が
存在することを前提とする必要がある。

したがって、いじめの件数の多さを嘆くのではなく
いじめの発見件数、認知件数の多さを、問題発見の制度の高さと
対応の素早さとして考える発想の転換が求められるであろう