現代のエスプリ いじめの構造より その3

いじめへの立ち向かい方 本間友己より

・いじめとは、一方の者が持続的に被害を被るような非対称的で
差別的な関係、すなわち歪んだ対人関係の一形態と見なすことができる
この歪んだ関係が最も生じやすい場とは対人的距離が
近くなりやすい場であって、そこには学校、職場、地域などが含まれる

言い換えるならば、それらの場では対人関係をめぐって
個人の中に強い情動が生まれ、その結果、対人関係は
歪んでしまいやすいのである

当然のことではあるが、この歪んだ対人関係はいじめのみではない
この20年ほど前から日本社会でしばしば取り上げられ
現在は法的にも規制されるようになった虐待、DV、ストーキング、
ハラスメントなどを含んでいる

行為が向けられる具体的な対象や場の違いはあるものの
これらは対人関係の歪みという点では類似の現象と見なすことができる

・通常日本の学校では、1日の約3分の1にあたる時間を
40人ほどの同一メンバーで生活を共有する構造となっている
加えて、授業中の教室の出入りや、休み時間の校舎外への
外出は原則禁止されている

すなわち学校とは、物理的な閉鎖性の極めて高い空間、集団と
見なすことができる。

一般的にいって、閉鎖集団の人間関係は煮詰まりやすく
その結果として関係は歪んでしまいやすい
残念なことではあるが、学校はいじめを生みだす土壌を
構造的に抱え込んでいる

学校が閉鎖性を内包せざるをえない集団である以上
子ども間の対人関係の歪みをゼロにすることはできないだろう

学校には、常にいじめが起こりうるリスクが潜在している
まずはこのことを素直に認めるところから、教師や周囲の
大人たちはスタートすべきなのだ