加盟各国の人権状況を審査する国連人権理事会は今月
日本に対して200項目超の勧告を行った
国連人権理事会は06年、それまでは非常設だった人権委員会を格上げして創設
された。
「人権問題の解決は内政不干渉の原則よりも優先され、国境を越えて議論される
べきだ」との理念に基づき、国連に加盟する全193か国が4〜5年ごとに審査の対象
となる。
審査を受ける国の政府が作成する報告書や非政府組織(NGO)などからの意見を基に
加盟国から選ばれた代表3か国が審査事項を決める。
他の加盟国も加わり、国連憲章や世界人権宣言、批准済みの条約に照らして人権が
守られていない分野があれば是正するよう勧告する。
日本の審査は3度目だ。勧告総数が
日本が最初に審査された08年には26項目だったのが12年には174項目に増え
今回さらに増加した。
・震災時子どもだった人への定期的健康検査や自主避難者への住宅、経済その他の
生活支援の継続を
・放射線量の許容線量を年間1ミリシーベルトの限度に戻し、避難者と居住者に対する
継続的な支援を提供すること
・慰安婦問題への謝罪と補償(韓国、中国、北朝鮮)
・核兵器禁止条約の署名
・外国人技能実習生を労働基準法に反して働かせる状況の是正
・度重なる米軍機事故により沖縄の住民の生存権が脅かされている、琉球民族が
権利を享受するための措置を強化する
・外交政治的な理由で日本政府が朝鮮学校を高校無償化の対象から外して7年、
地方自治体による補助金カットも起き経済的苦境に是正勧告
・昨年ヘイトスピーチ対策法が施行されたがネット上を中心に深刻な状況が続き
人種差別を禁止する法律が必要 など
日本政府は来年3月の人権理事会本会合で218の勧告それぞれに対して受け入れるか否かの回答を求められている。
08年には26項目中13項目、12年は174項目の内125項目を「受け入れる」あるいは
「部分的に受け入れる」と表明した。
(デスクメモ)
勧告はわたしたちの意識も問う。国民の大多数は原発事故の被災者などが置かれた
人権侵害的な状況は政府の責任で、自分たちに加害責任が及ぶとは考えない。
だが、本当にそうか。人権意識を磨いておかないと、自分が人権侵害を受けた時
他人の冷酷な無関心として帰ってくる気がする。