親子関係が清算されていないと恋愛は上手くいかない

「父のような人とは結婚したくないんです」
彼女は涙をうかべてそう言った。

父親に対して許せない”何か”を持っている・・・。
「どんなお父さんなの?」私が聞くと

いつもご機嫌うかがいをしていなければいけない人で、
暴力を振るったこともあると言う。

「それは、どれくらいの頻度であるのですか?」

「子どもの頃1,2度です」
隣にいた母親がそう答えた。
「そんなことない!何度もあった」と
彼女は涙を目にいっぱい溜めて、母親に訴えるように言った。

子どもの甘えの欲求を封じる親。
支配的で我執が強く
子どもに対して「筈」という像を作り出し
ソレにあてはまらないと失望し、不愉快になる。

自分に対して忠誠かどうか常にテストし、
甘えを叱り、感謝を要求する。

自分の要求と合致した子どもの要求は理解できるが、
合致しなければ理解できない。
不機嫌の原因があたかも子どもにあるように感じる。

自分の怒りや不満は正当で、
すべてのことが自分の期待通りにいかないとイライラする。
正義を振りかざして
「どうしてお前は・・」としつこく責める。
などなど・・。

情緒未成熟の親は、
暴力を振るわないまでも言葉や態度で子どもを抑圧する。

親の保護なしでは生きてゆけない幼少期。
この幼少期に親の機嫌を気にして育った人は、

甘えることで、見捨てられる不安が常につきまとう。
だから、
甘えの欲求を自らに禁じて生真面目に振舞う。
相手が満足しないのは、自分の責任と思い、
大人になってからでも対人関係において安心感がない。

小さい頃、
親から自分の実際の存在が許されなかった。
甘えの欲求を残したまま大人になっている。

この満たされていない甘えの欲求は
敵意を持ち、攻撃的になる。
混ざり合った複雑な感情から
”父親のような人は嫌だ”となる。

・・・親子関係が清算されていないと恋愛はうまくいかない・・・

だけど、こういう親に育てられたことを恨んでもしかたがない。
自分ではどうしようもできない”宿命”

そして、出逢いは”運命”
与えられた命を運んでいくのは、自分だ。
運命は自分で切り拓いていくことができる。

自分を愛して欲しい。
自分で自分を慈しみ、やさしくして欲しい。
そうすれば、自分の周囲で誰が自分にやさしい人なのかもわかる。
自分にやさしくしてくれる人とも出逢える。

そして、忘れないで
どんな親でも子どもを愛していることを・・。
親だけど、親である前に
愛し方が解らない、愛情表現が下手な
不完全な人間なんだ。