わたしは、こどもが中学3年生で卒業した年の春休みは、
親子2人だけで スキーに行く事に決めています。
今まで大家族で、大移動ばかりでしたので、こどもと出かける機会もだんだん減ってくるかな〜と思い・・・

そして、長男に続いて 去年の3月は、長女と2人で スキーに出かけた年でした。
まだバスが走らない早朝の出発でしたので、朝タクシーをお願いしていて、駅まで 1台のタクシーに乗り込みました。

男性の運転手さんは、私達2人が乗ると笑顔で こう言いました。
「お嬢さんと2人なんですね、いいですね〜。」
そう、しみじみと・・・

今でも、その声がとても穏かで 優しかったのを覚えています。
その運転手さんは、静かに 話を始めました・・・。

「お嬢さんとお二人なのを見てね、・・私もそんことがしてあげたかったな〜。
実は わたしは 女房が病気で亡くなったのが こどもがまだ7歳の時でしてね、
2人のこどもを抱えて これからどうしていこうかと 思いましたよ。
こどもが小さいときは、仕事はあるし もう大変でした。

多感な年齢の時は、お母さんがいれば、話ができたんでしょうね。
わたしには 言えないことも いっぱいあったでしょう。

私なりにね、一緒にボランティアをしたりして、今は娘は 保育士を目指して 頑張っているみたいです。 ・・」

ほんの短い時間に いろいろ話をしてくれた運転手さん。
うまく言えませんが、その父親としての優しさをいっぱい感じて、

わたしは、
「それは、お父さんとして とってもいい子育てをなさったんですね。
とても温かい気持ちになりました。どうも有難うございました。」 と。

もう涙いっぱいになって、タクシーを降りようとした時、
「はい、これ お嬢さんに。」
そう言って、運転手さんは 娘に缶ジュースを 渡してくれました。

きっと愛情に包まれて、運転手さんの娘さんお二人は すくすくと育ったことでしょう。
とても いい時間をいただきました。