キューバ報告② 〜都市農業編〜

キューバの首都ハバナでは、人口200万人以上の都市自体が、野菜を有機農業で自給しています。

かつてはソ連からの輸入に依存し、自給率も低かったのが、ソ連の崩壊とアメリカからの経済封鎖を受けてモノ不足、食糧難に陥りました。

それまで使っていた農薬も化学肥料も手に入らなくなり、国を挙げて研究を始めたのが、ミミズ堆肥や益虫の活用、自然の仕組みを上手に取り入れた農法でした。

空き地やゴミ捨て場、屋上やベランダなど、あらゆるところで植物を育て、15年間で
自給を達成したのです。

農園は国営農園、家族農園、共同組合農園の3種類があります。写真は、15万人
が住む団地内にある協同組合農園です。農業経験のない人でも、3ヶ月のトレーニングを受けることができるそうです。ここでは160人もの雇用を生み出しています。
給料は、収量や労働時間、専門性に応じて上がっていきます。

直売所が併設されているので、地域の住民はここで獲れたての野菜を購入することができます。野菜は地域の小学校の給食やデイケアセンターにも供給されます。

この協同組合というシステムや、先進的な有機農法を学びに、毎日のように海外から視察が来るそうです。

一方ダウンタウンでも・・・

ビルの屋上で野菜や果樹、薬草が栽培されています。写真はトマトです。天井から吊るしているプランターは、要らなくなったドラム缶を利用して作ったものです。

これらの都市農業を支援しているのが、CTAという農業コンサルティングショップです。
コミュニティごとにあって、アドバイザーが家や会社まで出向いて、家庭菜園の作り方、バイオ肥料についてのアドバイス、ミミズの養殖について等、農業に関するあらゆる相談に乗ります。

敷地内には、観葉植物、果樹、アロエやハーブ等の薬草の苗が所せましと並んでいます。野菜の種子やミミズ堆肥等も買うことができます。

市内には農業を普及啓発するNPOもあって、日本から環境NGOや農大の教授も視察に来ているそうです。

街なかにある八百屋さんでは近くで獲れたとても美味しそうな野菜や豆、果物が並びます。当然秤売りです。

ハバナ市民は安全な野菜を食べ、農業に携わり、健康な毎日を送り、しかもフードマイレージや農薬による環境負荷も少ないという究極のスローフードを実現しました。(国民皆がという訳ではありませんが)

一方で豊かなはずの先進国が、安全性、ダイエット、環境汚染など、「食」にまつわる悩みを抱えているというのは、考えさせる話です。

以上、キューバ報告②〜都市農業編〜でした。(次号もあるかは未定)