高次脳機能障害講演会(in釧路) 報告

脳外傷友の会コロポックル道東支部が3月7日に講演会を開き、その内容が北海道新聞(釧路・根室版)で報道されましたの紹介します。

高次脳機能障害 治療、リハビリに地域格差
病院 大都市に集中 患者家族の報告も

 交通時などで脳に損傷を受け、記憶力の低下などを引き起こす「高次脳機能障害」について考える講演会が7日、釧路市内で開かれた。外見上、症状が分かりにくい障害のため、地方では行政などの支援体制が十分に整っていなかったり、専門の治療や機能回復訓練を受けられる病院や施設が札幌など大都市にしかないなど、「医療格差」が患者の社会復帰の壁になっている現状が患者家族の報告で浮き彫りになった。

 主催したのは、高次脳機能障害の患者らでつくる特定非営利活動法人「脳外傷友の会 コロポックル」(札幌)の道東支部(帯広)。十勝、網走館内を含む道東を活動範囲とし、釧路、根室館内には約20人の会員がいるという。この日は、約70人の患者や家族、市民が参加した。
 「家族の報告」で、根室市の女性会員(56)が、7年前の交通事故で脳挫傷や頭がい骨骨折などを負い、失語症の残った長男について報告。専門の治療やリハビリを受けるため、埼玉県の病院まで4カ月間、毎週通ったり、札幌の北大病院に検査入院したりした。
 こうした体験を踏まえ、女性会員は「(地元で)継続したリハビリを受けられない対応にもどかしさと辛さを感じた。(大都市から)離れた地域には医療やリハビリの格差が大きく、対応の不満は絶えない。『どうしてなのか? 何のための障害者手帳なのか?』と、今もって悩むことが多い」と胸の内を吐露。
 医学の発達で、今まで助からなかった命が救われる例が多くなった一方で、高次脳機能障害になる例も少なくなく、女性は「すべての人にとって深刻な問題。(会の活動を通じて)人ごとではないことを、私たちは共有していきたい」と締めくくった。
 道の高次脳機能障害者支援体制整備推進委員会の委員を務める手稲ロイヤル病院(札幌)の大島峻リハビリテーション科長は、障害の起きる仕組みや最新の診断基準、治療法などについて解説。「患者は最先端の医療施設でリハビリを受けても、最後は地域に戻り、そこで暮らすことになる。きちんと受け入れられるよう、この障害への理解を深め、住みやすい町をつらなければならない」と訴えた。
 高次脳機能障害に関する相談は道東支部電話0155−24−6974へ