もとまちアート・シンポジウム(3)

金藤:今うかがったように、美術館展示のように、ある一定期間、同じ展示をするというのではなくて、期間中変わっていったりといったものなんですね。

佐藤:
ここにあった作品が、他で見られるかというと、そういうことではなくて、今日ここで表現しているのは、この期間、ここにしかないもの。この作品をどこか別の場所へもっていって、ということはおそらくない。この40日間しか存在しない作品だということです。この場所にしかないのだというようなことを思っていただければと思います。

金藤:
そのあたりも新しいアートの楽しみ方ではないかと思います。
会場の方におうかがいしたいのですが、ここが銀行だったときに利用されていた方はいますでしょうか。
(会場——いない)。
建物の中に入ってみての感想をお願いします。

来場者1:
光がたくさん入って、展示物が見やすかったです。部屋が区切られていて、作家の個性がとても魅力的でした。

来場者2:
この建物自体がたいへん魅力的というか、非日常感が、見ていてとてもおもしろかった。

金藤:
建物自体が新鮮ということですね。ここに来ただけでも意味があると思われた方も多かったと思うのですが、街の方におうかがいしたいと思います。この建物がこうして使われたことについてどう思われますか。

高梨:
ほぼ全作品を拝見したのですが、ちょっと怖いなと思う作品も何点かあり、おのおのの価値観によってそうしたものをつくったんだろうなと、感心いたしました。完成されたアートというより、身近なアートと先ほど私言ったんですが、本当に目の前にあるものをどのように加工するかによって、新たなアートがうまれてくるのを人文なりに発見したんじゃないかなと思います。

只野:
ぼく、以前からイベントとかあるごとに、この建物の中にいろんなものを入れたり出したりしてたんですが、たまたま一番上までのぼって、各階ずっとのぞいてみて、その時思ったのは、これもともと銀行さんで、4階は独身寮だった。1部屋1部屋に畳なんかあって、窓には網戸があって、すごく生々しいですよ。ここで、昼は上司にしぼられ、夜はここでやけ酒なんか飲みながら、上司の悪口なんか言ってる人いたんだろうなと。怨念なんか感じるあやしい雰囲気の4階でした。