全国集会のご案内

今年の全国集会は富山県井波を主な会場に行います。
「建築彫刻と職人技能の継承を考える」をテーマに、徒弟制を基本に木彫り技能を継承している井波彫刻協働組合の関係者と交流を行うなかで、最近では見過ごされがちになっている日本建築における建築彫刻を題材としながら、木造建築関連の職人技能を継承していくためには何が必要なのかを考えます。

富山県南砺市井波は浄土真宗の瑞泉寺の門前町として栄えた町です。瑞泉寺は1390年(明徳元年)に本願寺五代綽如上人(しゃくにょしょうにん)が、後小松天皇の勅許(ちょっきょ=天皇より命令が下ること)により井波別院を創設したことに始まりますが、幾度も消失しそのつど再建されました。江戸中期の本堂再建にあたり、京都本願寺より彫刻師の前川三四郎が派遣され、地元の大工に木彫りの技法を伝えたのが井波彫刻の始まりとされています。
瑞泉寺の明治十二年の火事では、山門に彫られた前川三四郎作の「波に竜」の竜が躍り出て山門南方にある井戸の水を吹きかけ、類焼を防いだという伝説があります。

太子堂は明治44年に起工。大正7年に井波彫刻の粋を集めて再建されました。唐狭間や木鼻など、巧な細工に目を見張ります。

戦争の苦難の時期を乗り越え、伝統を守った井波彫刻は戦後復興と共に日展作家を輩出するなど発展してきましたが、近年の住宅様式の変化の中で木彫り彫刻の将来について地域全体での模索を行っています。木造建築関連の職人技能を継承していくために何が必要なのかを考える今回の全国集会。この機会にぜひご参加ください。