12月13日(土)に東京都八王子市にある再生民家、T邸の完成見学会を行います。この物件は、限界耐力計算を用いた木組みの伝統工法によるもです。施主の先代が建てた家に住まい続けたいという気持ちに応えるべく、若き棟梁をはじめ、職人さんが技を発揮されました。古材文化の会に住まい手の思いが届けられて3年近く、いよいよ完成です。関心をお持ちの方はこの機会にぜひ、ご参加ください。
*参加希望の方は浅野設計室まで*TEL042-974-1691 FAX042-971-0963
以下は、「古材文化Vol.78」(2008年2月20発行)に掲載された浅野正敏さんの原稿です。
施工を請負っていただい杉原建築の代表・杉原敬さんと担当棟梁の船戸岳司さんは二人とも36歳という若い大工さんです。杉原さんは7年前に独立以来、伝統工法にこだわって仕事をされています。
2月18日から建て方が始まる直前に、船戸棟梁に民家再生工事の苦労をお聞きしました。
今回の再生工事は墨付け、きざみが8カ月におよぶ長期戦。集中力がダウンする時も来るそうです。そんな時はいつも初心に帰り「施主の先代が建てたこの家に住み続けたいという気持ちに応えるのが、任された大工としてやるべきこと」と思い返して仕事に向き合うのだそうです。
古材資源の活用、建築文化・技術の継承云々という前に大工としての率直な気構えに脱帽してしまいました。
施主のTさんにとっては、丸2年経過してやっとその姿が現実となる建前が楽しみなことと思います。しかしながら、この時代こんなに長い期間にわたる再生工事に信頼をいただいていることに感服している次第です。
昨年6月の建築基準法改正により、T邸のような木組みによる伝統工法、貫と土壁の建築を造ることがますます困難な状況となってきていますが、優れた建築文化を今後も引き継いでゆけるよう微力ながら努めていきたいと思っています。 (浅野)