『土と木と瓦』職人に学ぶ—甲乙塾の8年間の記録
木造建築に関わる各種の職人さんの技能を市民が学ぶ講座— 「甲乙塾」は“職人の技能のコツを学ぶこと”と“甲乙丙丁と続くものごとの始まり”という2つの意味をかけて名付けられました。1999年。自然素材として関心を集めている土壁造りを課題として学びました。塾長は「しっくい浅原」の浅原雄三さん、職人さんたちにもお世話になりました。
2000年。農家解体で学ぶ木造建築とリサイクルをテーマに木構造と先人の古材リサイクルの知恵を学びました。京都府相楽郡に建つ平屋建て農家を実習場所とし工務店、瓦屋さん、解体業の職人さんを講師にお招きし、汗まみれ、ホコリまみれになりながら、解体実習を行いました。
2001年。いよいよ庵を建てます。塾長は京都市の米田工務店・米田政司棟梁。初年度に土壁を指導いただいた浅原親方と、2年目の解体塾でもお世話になった木村棟梁、光本親方に副塾長としてご指導いただきました。
時々メンバーが入れ替わりながらも、毎年、暑い季節に塾生が集まり、庵は少しずつ少しずつ完成に近づいていきます。屋根を葺く杉皮も採りに行きました。「コツ」を学ぶ以外にも、適材適所の材料の選び方、道具を大切に扱うことなど建築に関わる大切な精神も学びました。2006年、庵は完成しました。「甲乙菴」と名付けられた庵は職人技と塾生の思いがたくさん記憶されています。
甲乙塾の8年間の記録を「職人技を体験したい」人の参考になればと考え、塾生・スタッフ有志で編集をスタートさせ、昨年に出版されたのが「土と木と瓦」です。打合せだけでも約50日。たくさんの「コツ」と思いの詰まったこの記録誌をぜひ、多くの方に知っていただくとともに、お手元において木造建築の職人技能を身近に感じていただきたいと思い紹介いたします。頒布価格は1600円(送料別)です。A4モノクロ・218頁にカラーでご覧いただけるCD付です。申込み・問合せは古材文化の会事務局まで。(Tel:075-532-2103)