希望を持って課題をみつめる

美山の北村には年間70万人以上の人が訪れます。多くは大型バスでやってきて、時間が来たらバスに乗り込み…。観光も必要だけど、それだけではダメだという意見は住民の中にもあります。

私は、美山の本当の良さは、ゆっくりと時間を楽しむことでより一層、深く感じることができると思っています。今は通過点として美山を訪れる人が多くても、そこからリピーターが生まれ、一歩踏み込んで住民と交流をするグループが生まれ、大きい輪から中くらいの輪へ、そして小さくて密度の濃い輪へと地域との関わり強さが層になった美山ファンの円(球)ができていくことがひとつの希望になると思います。

美山北地区の課題は伝建地区という特性によるものもあります。文化や歴史をつなぐことと、今の暮らしを守ることは切り離して考えることはできません。建物は町や村を構成する要素のひとつです。文化や歴史を大切にすることで日本人が持っていた自然に対する感謝の気持ちやものづくりの心をも受け継がれると信じています。そして、それだけではなく、住みやすさといった新しい要素も加えながら、設計や改修が行われることで持続可能な暮らしへの一歩となるのではないでしょうか。

古材文化の会は、「古建築及び古材の活用を促進」「伝統木造建築文化と建築技能の継承と発展を図る」を掲げて活動をしています。そしてもうひとつは、「資源と共存する持続可能な社会の実現を目指す」です。
さまざまな課題がどこかでつながっているとしたら、古材文化の会の活動の中にはさまざなヒントがあるのではないかと思います。(よし)