12月5日は中川等講師の「普請願書と普請帳」の講義がありました。普請願書は現代における建築確認申請書のようなもので奉行所に提出されていました。手書きの時代ですが写しを作成し、それが建築主宅に残っている場合があります。建築における大すじの管理は建築主が行っていて材料や出面、祝儀などを書き記していました。それが普請帳です。祝儀は建築に必要な材料が主でワラ・縄・竹・材木・石などが多かったそうです。また祝儀をもらった人に何を返したかまで書き記したものもありました。
演習では受講生各自で普請帳の解読をこころみましたが、簡単には読めません。つづけ字で書かれている場合は、どこで1文字なのかもさっぱりわからないものもあり、まず、似ている文字を探し、文脈で推察し…とコツコツと辞書をひきながら調べるしかないようです。くずし辞典というものがあり、最近では手書きで文字を入力すれば検索してくれる便利なパソコンソフトもあります。
古文書、棟札、普請帳と講義が続き、共通して言えることは、それがどういう意味をもつものなのかを所有者に知っていただくことで、失われずに次代に受け継がれる。また、建築や建造物の保存活用にたずさわる人は、まず興味を持つこと。それぞれ、先人の知恵を学ぶ貴重な資料だということを学びました。(吉)