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世田谷文学館(南烏山)において、フィルムフェスティバルが開催されています。
通常の映画祭とは違って、新作を見るのではなく、「世田谷に深いゆかりのある映画人、世田谷生まれの映像が生んだヒーローなど、映画文化、映画と世田谷の強い結び付きを映画資料展や催し物で」紹介するもので、毎年1回のペースでの開催となっているようです。
世田谷に撮影所がある東宝や隣の調布市日活撮影所、黒澤明や三船敏郎他の映画人が世田谷に多く住んでいたことから始まったものであると聞いています。
今回の橋本忍さんのお住まいも世田谷(代田・羽根木)で、「羅生門」を始めとする黒澤作品のいくつかは、橋本脚本なのです。
今日の上映は、カンヌ国際映画祭審査員特別賞の「切腹」(1962)と野村芳太郎監督の「影の車」(1970)でした。前者は、これも江戸時代の世田谷と関係深い井伊家(菩提寺は豪徳寺)が舞台となっており、「羅生門」の回想構成に通じたシナリオ。後者は、高度経済成長後期の小田急線沿線の団地周辺が舞台で、4年後の野村監督名作「砂の器」(1974)に繋がるシナリオであると言えるものでした。40年ほど前の妖しく美しい岩下志麻、快活で麗しい小川真由美、清張「和賀英良」役原点の加藤剛が見れただけでなく、当時の風景がそこかしこに再生されており嬉しく観ることができるものでした。
シナリオ書くにあたって、住んでいる地域の歴史や地理空間が大きく作者に影響与えていることは間違いないようです。
写真は、文学館の資料ライブラリーに設けられた、今回上映されている作品などのビデオパッケージを紹介しているコーナーで、館内で視聴することができるようです。
しかし、フィルムでの大写しで再生されるチャンスは多くないのです。明日は、山田洋次監督の「砂の器について」の講演・上映があるそうです。