私・門脇は、ここ杜の都・仙台に住む現代アーティストです。
私はこの何年か、街の中や学校など、いわゆるアートのための空間ではない場所で、アートにあまり関心がないか、時にはまったく関心のない方たちに、アートを見せたり、いっしょにアートをやったり、ということを行っています。

ところで、私は思えばそうしたことを、いわば自分の住む街の外で行ってきたことに気づきました。自分の街でアートをする、そのあまりに当たり前のことをやってみようと思ったのが昨年の春、知り合いのアーティストが定禅寺通りを使って企画をやっているのを見たときのことです。
他の街でアート・プロジェクトを行うとき、私はいわば「よそ者」としてその街へ入ります。それは「よそ者」という響きとは裏腹に、実はとても楽しく、あっけらかんとしたもののように思います。見ること・聞くことすべてが珍しく、おもしろく、何でもアートのネタになったしまいそうに思えます。

しかし自分の街で同じことをしようとしても、そううまくいくのだろうか、と感じ始めました。私が「よそ者」として自由に、そしていわば無責任に「侵入」して来た街の人にとって、私はどんな風にうつったのだろう、自分の街で、「身内」の中でプロジェクトをやり初めて、そんなことを考えるようになりました。

(コメント:門脇篤。写真は上から、宮城県柴田町槻木小学校、千葉県船橋市本町通り商店街、長野県長野市善光寺表参道)