(財)宮城県地域振興センター主催のセミナー「アートで地域が変わる」に参加してきました。
越後妻有アートトリエンナーレの北川フラムさんと、はっぴぃはっぱプロジェクトの吉川由美さんがそれぞれの事例を発表、吉川さんの進行で北川さんにお話を聞くようなスタイルでの「ディスカッション」が2時間半あまり。
越後妻有のお話はほうぼうでお聞きし、昨年は「ながのアート万博」の宮沢真さんらと実際に足を運んで見て来ましたが、アートと地域、まちとアートというテーマからすると圧倒的なモデルケースということができると思います。
これに対し、仙台・卸町での取り組み「はっぴぃはっぱプロジェクト」は、私たちが、明日から、ささやかなところからはじめられる取り組みの例だと思います。
アートで地域を変えていくには、これらの両面が必要なのではないかと思います。意図してかせずしてか、この日のセミナーのふたりの講師、ふたつの事例はそうした意味でベストな人選だったように思います。
たくさんの示唆に富む内容でしたが、一点だけ心にのこったことをあげると、北川フラムさんが、これまで日本のアートはむら社会、家元的な、保護された中で生かされてきた存在だったが、越後妻有を含め変わりつつあるアートを取り巻く状況の中で、アートがはじめて本当の意味で需要のある世界と接し始めたのではないか、という指摘が、まさに的を得たものであると感じました。
好きな絵を描いて好きな人が評価して、というものから、アートなんて必要ない、というおおかたの社会、コミュニティへと出向いてこんなことをやりたいんだというコミュニケーションからはじめるといった姿勢、しかしこれはアート以外の分野では当たり前のものでしょう。「需要」というのは、何もお金とモノとの関係だけでいっているわけではなく、むしろそれ以外の精神的な面でのそれについて言っているのだと思います。
そうした意味で、4月に仙台で行われる一連のアート企画が、コミュニケーションをテーマとしていることは、そうした意識と同じところに立つものであり、「需要」なる視点をアートに問い掛けるかっこうの場になるだろうと思っています。
(コメント:門脇篤)