ごあいさつとご報告
本プロジェクトの成功に関し、さまざまな方面からいろいろなご助力をいただきましたことに感謝申し上げます。
100万都市・仙台の中心部で、こうした大規模なアート・プロジェクトが実現できたことについて、各方面から「仙台にはそうした文化芸術を受け入れる素地があるのですね」といった感嘆の声を聞きました。こうした評価は、本プロジェクトの成功のみならず、「アート」のもつ力への評価および仙台という街のブランド・イメージを上げる役割の一助を果たしえたのではないかと思います。
都市における参加型アート作品として、本作品の制作においては、市民参加による共同制作方式を採用しました。公募で集まった若者たちは、共同制作の過程において、これまで体験したことのない充実感を覚えたとの感想を口々に述べました。それは「これをつくったからといって、何か得するわけでもないのに、それでも一生懸命取り付かれたように制作に参加してしまいました。こうした感覚は、これまで味わったことのないもので、おそらくアート以外ではなかなか体験できないものではないでしょうか」といったもので、これはアートが単純な経済原理による勝者/敗者といった論理に立つことなく、人と人とを結びつけ、その関係性を再認識・再評価していく役割、あるいはアートが社会における福祉的な役割を担う可能性が十分にあることを示唆するものではないかと思います。このプロジェクトを通じて、「アートによる公共事業」のようなものを考えてみたいと考えています。
制作が完了した週末には、さくら色の毛糸の下で「お花見イベント」を開催しましたが、これは仙台に住む若者たちの表現の場となりました。特に地元高校生バンドによる「お花見ライブ」は、演奏の機会もなく練習をつづける高校生たちに、やってみないかと声がけしたことからはじまったもので、自分の住む街を舞台に、自己表現ができる喜びを味わうことができたとの感想を述べています。こうした若者の自己表現を育てる環境が、街には必要であり、そうした機会を今回提供できたことで、これに続く新たな企画が生まれてくることを期待しています。
本企画は、一般にそれほど露出する傾向のない「アート」としてはめずらしく、マスコミ各社に取り上げられ、期間中はテレビ局、新聞社が取材を行い、中には1度だけでなく、2度にわたって報道してくださったところもありました。こうした影響力をもちえたのは、単に「アート」という殻に閉じこもることなく、仙台という街の顔ともいうべき場所での前代未聞の規模による実施、それにかかわる人々がアート関係者に関わらず、仙台に住む市民によるものだったこと、しかもそのもとで自己表現をする若者たちとの共同企画が週末イベントで開催されたことなど、複合的かつ開かれた、新しいかたちの「アート」であったことがあげられると思います。
本プロジェクトを企画した門脇篤まちとアート研究所は、これからも「まちとアート」をテーマに、「まち」という、人と人とが否応なく関わることで成立している場にこだわった、より開かれたアートを考えていきたいと考えています。逆にそれは「まち」を見直し、活性化させる力へとつながるものだと考えています。
今後とも門脇篤まちとアート研究所をどうぞよろしくお願いいたします。
●企画名:仙台・定禅寺通りアート・プロジェクト「けやきに花を」
〜桜並木を桜の名所・西公園から定禅寺通りまで延長するアート・プロジェクト〜
●実施期間:2007年4月16日〜22日
●実施場所:仙台・定禅寺通りグリーンベルト全域
●実施内容
4月16日(月)〜4月20日(金):アーティストおよびボランティア制作スタッフによる共同公開制作
アーティストと、公募により集まったボランティア制作スタッフが朝10時より夜10時まで継続的に制作を実施。スタッフは制作当初は10名程度だったものの、期間中に参加者が参加者を呼び、最終的には20人程度となりました。また、期間最初は雨天のため、制作を一時中止することがありましたが、徐々に天気は回復し、制作が完了した20日(金)は快晴に恵まれました。
4月21日(土)・22日(日):週末お花見イベント(22日(日)は雨天のため中止)
①「お花見ウォーキングツアー」
アーティストによる作品解説。手話ガイド付。10:00〜、14:00〜
東北文化学園大手話サークル「seaふれんず」の協力を得て、手話通訳付の作品解説を行いました。内容としては、けやきにさくら色の毛糸を結ぶ本作品の意図、制作の経緯、謝意、質疑応答など。各回とも10数名が参加しました。
②「第2回世界紙船競艇選手権仙台大会」
第1回船橋大会(06年11月)にひきつづき、紙でつくった船を毛糸に結び、これをたぐることで進めるレースを行いました。10数名が参加、上位者には賞品を授与しました。
③「第12回定禅寺通りジャすフェス」
オープン・カフェや参加希望者による作品展示ブースなどを設置。計11組の出展があり、これを見る人たちで会場はにぎわいました。
④「お花見ライブ」
地元高校生バンド3組による熱演が行われました。
●主催等
主 催:ハロー!定禅寺村、門脇篤まちとアート研究所
共 催:定禅寺ジャすフェス、SENDAIcompleX
協 賛:仙台市商工会議所、㈱武海建設、宮澤真、杜の教室
協 力:仙台アートシティプロジェクト実行委員会、㈱一・四・一、中本誠司現代美術館、制作会社COPY、東北文化学園大学seaふれんず
後 援:仙台市、仙台市教育委員会
●メディア等掲載一覧
・「S-Style」 2007年4月号
・ケーブルテレビキャベツ 「スキだっちゃ!」 2007年4月5日
・「machinavi PRESS」 4月号
・河北新報 2007年4月7日夕刊「ケヤキ並木にアートの花」
・日本イベントプロデュース協会会報
・「仙台経済新聞」ヘッドラインニュース 2007年4月10日
・読売新聞 2007年4月12日朝刊
・ラジオ3 「トワイライト・ウェーブ」 2007年4月12日
・「リビング仙台」 2007年4月14日
・NHK仙台放送局ラジオ第一「よじらじ!宮城」 2007年4月16日
・TBC東北放送 「イブニングニュースTBC」2007年4月16日
・KHB東日本放送 「スーパーJチャンネルみやぎ」2007年4月16日
・仙台放送 「スーパーニュース」2007年4月16日
・ミヤギテレビ 「OH! バンデス」2007年4月16日
・「朝日ウィル」 2007年4月17日
・河北新報 2007年4月17日夕刊「河北抄」
・TBCラジオ「YAGIYAMA発!ラジオな気分」 2007年4月18日
・KHB東日本放送 「スーパーJチャンネルみやぎ」2007年4月20日
・仙台放送 「スーパーニュース」2007年4月20日
・河北新報 2007年4月22日朝刊「ケヤキも春は桜色」
・朝日新聞 2007年4月22日朝刊
・読売新聞 2007年4月22日朝刊