セミナー報告「ニューカレドニア・ニッケル開発事業を事例に」

6月3日、「危機に立つ生物多様性 <天国に一番近い島>で今何が? ニューカレドニア・ニッケル開発事業を事例に」というセミナーを開催しました。
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地球・人間環境フォーラムでは数年前から、「原材料調達の持続可能性」というテーマで、日本が大量に輸入する自然資源の生産現場における環境社会影響に関する調査・研究を行ってきました。今回は、今年4月に国際環境NGOのFoE Japanと共同で調査をおこなったニューカレドニアのゴロニッケル開発事業をとりあげました。ゲスト・スピーカーには、4月の調査に同行して頂いた資源環境ジャーナリストの谷口正次さんを迎えました。

素晴らしいスピーカーを招いたものの、鉱物資源という難しい分野をとりあげ、しかも一般論ではなく、あえて論争を呼ぶような個別の事業に踏み込んだことで、どの程度の集客を見込めるかということに関して迷いはありました。しかし、ふたを開けてみれば、当日は会場(といっても小さな会場ですが)があふれるほどの参加があり、しかもそれぞれの立場からの真剣な質問が出て、踏み込んだ議論ができたことは本当によかったと考えています。

ゴロニッケル事業について国際協力銀行が融資検討をしていることもあり、セミナーのテーマの一つは公的金融機関の役割でした。参加者からは、国際協力銀行が融資をやめても、事業自体はとまらないのかという質問がでました。これに対して、谷口さんの回答の言葉がたいへん印象深かったので引用します。

「日本として、このような事業に対して融資をしないという姿勢をみせることに意義があるのです。生物多様性を破壊するような事業には、融資をしないときっぱりということが、生物多様性条約COPのホスト国として重要なメッセージになりえます。」

最後にセミナーでも繰り返し強調したように、資源の調達・消費、さらにその過程における生物多様性への配慮という難しいテーマについては、社会全体で取り組まなければならない課題だと考えています。国にまかせっきりにするのではなく、環境団体の立場から声をあげていくことは重要です。国や関連する企業、公的な機関への提言や働きかけそのものが、私たちにとっての重要な活動の一つであるということを、皆様にご理解いただければと考えています。(満)

フォトレポートもどうぞご覧ください!ニューカレドニア・ゴロニッケル開発事業の環境社会影響現地フォトレポート