ミジンコは甲殻類?昆虫類?産む?生む?

地球・人間環境フォーラムで発行している月刊誌グローバルネットでは、「研究最前線」という連載があります。ここでは、主に国立環境研究所のさまざまな研究者に原稿執筆を依頼しています。

7月号は「ミジンコを用いたバイオアッセイ」というタイトルで、環境リスク研究センターの鑪迫(たたらざこ)典久さんに執筆していただきました。その編集過程でのこちらからの質問に関する答えを誌面では紹介できなかったので、ここでシェアしたいと思います。本文はグローバルネット誌面にて是非ご確認ください(お試し購読もできます)。

質問:「無脊椎動物、節足動物、昆虫類、甲殻類」これらの違いは?

(以下、本人文)「分かりやすく言うと、無脊椎動物というと、軟体動物なども入ってきます。貝類などです。貝類のホルモン系はまだ良く分かっていません。脱皮しません。

節足動物といえば無脊椎のなかの、軟体動物以外のかなり広い範囲を指し、昆虫類、甲殻類、サソリ、蜘蛛、ムカデ類などが入ります。

昆虫は、体が3節、足6本、羽4枚、で出来ており、かなり限定されています。でも種類と量は節足動物の中でダントツに多いです。皆さん食べているエビ、カニなどは十脚目に属し、甲殻類は他にもいます。

よって、無脊椎>節足動物>(昆虫類、甲殻類は対等)です。

ミジンコは甲殻類甲殻亜門(Crustacea)鰓脚綱(Branchiopoda)になりますが、昔の分類で大顎亜門_Mandibulata_甲殻綱となります。甲殻類です。」

質問:本文中には、休眠卵が産まれる場合のみ「産む」と記載され、その他は「生む」とされています。何か違いがあるのでしょうか?

ミジンコのメスは通常オスを必要とせず、無為生殖を行いますが、ごくたまにオスと交配して、休眠卵を産むことがあります。(以下、本人文)「この「休眠卵を産む」というのは、おそらく全員一致で納得していただける産卵だと思います。別に「生む」と表現しているのは仔虫(子供)の体外放出を意味しています。ミジンコは卵を背中の育房というところに産卵し、そこで仔虫になって、48時間後に体外に放出するので、産卵と産仔は厳密に区別する必要があるのですが、一般の人には、体外に放出された時をミジンコが生まれた、と思っていると思います。育房は外界と水が繋がっており環境は野外と同じなのでどの時点で誕生と定義するのか微妙ですが、生命の誕生として卵がうまれることを「産まれた」、仔虫が外界へデビューしてビジブルに発生したのを「生まれた」と表現してました。育房に産卵後、48時間後に産仔した、という表現をするので、どちらも「産まれた」で間違ってはいないと思うのですが、「仔虫を放出する」ことを産むと表現するのはなんとなく重たい気がして、無意識に使い分けていたみたいです。

「生」は「うまれる」に「産」は「うむ」というイメージです。(母親が)産んだ子と卵が孵化してヒヨコが生まれたといったようになんとなく使い分けていまして、ミジンコの場合もなんとなく仔虫の場合には生まれたを使っています。」

とのことです。普段の生活で考えているレベルより、マイクロな世界ですが、たまにこういうことを考えてみるのも新鮮です。

ちなみに現在我が家にはカブトムシが何匹かいます。非常に久しぶりに間近に見るカブトムシの分類を調べてみると節足動物門昆虫綱甲虫目とのこと。カブトムシの思い出は、あまりなく、漠然と小学生ぐらいのときに弟が飼っていたような、というぐらいですが、もちろん今も触ることができません。世話は夫がしています。ゴキブリ(節足動物門昆虫綱ゴキブリ目)も平気で触れる夫に、「カブトムシもゴキブリも同じ虫ということで、似たようなもの?」と尋ねると「微妙」との答でした。まあ違いますよね。同じ昆虫かもしれませんが、私には大きな違いです。カブトムシにはかなりがんばれば触れますが、ゴキブリにはどうがんばっても触ることはできないと思います。(亜)