地球・人間環境フォーラムでは、環境省の請負事業「平成21年度森林保全分野のパートナーシップ構築のあり方検討調査」を実施しています。その調査の一環で企業とNGO/NPOが森林保全分野でうまく連携を進めている海外事例として、フィリピンの二つの事例を現地視察してきました。
ルソン島北部、カガヤン州の州都ツゲカラオから30分ほど車で行ったところにありペニャブランカと、首都メトロ・マニラ郊外にあるカリラヤです。
マニラから1時間のフライトで、ツゲカラオに到着。車よりも、たくさんのトライシクルと呼ばれるオートバイにサイドカーをつけた三輪式の乗り物や、ぺディサイクルという自転車版の三輪式の乗り物が町中に溢れていました。
ツゲカラオから車で30分ほど行くと、視察地のペニャブランカに入ります。ここは、ルソン島北東部に連なるシエラマドレ山脈のふもとで、300以上の洞窟がある観光地でもあります。
最終日に、その一つカラオ洞窟に行くと、子供たちがついてきたので、話を聞いてみました。4人は兄弟や従兄で、野生のサル、トカゲ、鳥を獲ったり、ワナを仕掛けて仕留めたり、パパイヤやコーン、バナナを育てて生活しているとのこと。狩猟・採集をして生活をしている原住民のアッタ族の子供たちでした。
Y字型の道具の先端にゴムがかかっていて、そこに小石などをひっかけて飛ばす道具(パチンコ)を持っているので、みんなで遊ぶのに使っているのだろうなと思っていたら、実際に仕留めた内臓の飛び出している青い小鳥をポケットから出して見せてくれたので、非常にびっくりしました。
カラオ洞窟の横にはカガヤン川が流れていて、上流に船で上っていくと原生林の中にコウモリ洞窟と呼ばれる洞窟があります。
夕方の18時に何百万匹というコウモリが洞窟から一斉に飛び出してくるようです。その日はなぜか17時過ぎに洞窟から飛び出して来たのですが、空に黒い帯ができるほどの大量のコウモリが移動する様子は圧巻でした。
出張中は晴天に恵まれたのですが、私が訪れた一週間前に襲った大きな台風によって、町は洪水の被害にあったようです。実際に橋の周辺は泥だらけで、洪水によって流れてきた大量の流木やごみがたまっていました。
もう一か所の視察地、メトロ・マニラから車で4時間ほどのところにあるカリラヤ湖の周辺でも、夏にやってきた台風によって町が水没したそうで、泥水で濁った湖のようになっているところに家や電信柱が残っていました。住民は今も避難生活を強いられているようです。
フィリピンは初めての訪問でしたが、多種多様な文化と民族からなる多様性に富んだ国で非常に興味深かったことと、自然の豊かさと自然の脅威の両方を実感する機会になりました。(天)