4月21日(土)。
このところ肌寒い日が多かったが、この日は蒸し暑いぐらいだった。
やや厚い雲が立ち込めているものの、雨の心配はなさそうだ。感謝!!
午後1時。
総勢15名のドキュメンタリー撮影スタッフが、松明が並ぶ若宮神社に集合。
現場をつぶさに歩いて、照明の位置やカメラアングルなどを入念にチェック。
午後6時。
ハッピ姿に身を包んだ太鼓の担ぎ手やカシラ、ちょうちんを持つ役員などが自治会館に集まって、にぎやかに宴が始まった。
宴の影で、カシラや自治会長の奥さんたちが、せっせと給仕をする。宴の席にも松明づくりにも参加できない女性たちの目に、「祭」はどう映っているのだろうか。
自治会館の玄関先には、飾り付けの済んだ太鼓が堂々と鎮座している。
午後8時。
酒が入って赤ら顔の男衆が威勢良く太鼓を担いで、若宮神社までの道のりを歩きだした。
力強い太鼓の音が集落に響き渡る。田んぼで合唱していたカエルたちも、しばし声を潜めて、太鼓の音に震える空気に耳を傾けているようだ。
一方、若宮神社には、各家から「子ども松明」を持ち寄る家族連れが集まっていた。
子ども松明とは、男の子がいる家で作られる小さめの松明。最近は、子ども松明を買って来る家も多いが、今年はカメラを意識してか、おじいちゃん達が孫のためにかなり大きな子ども松明を作ってくれた。
午後7時。
若宮神社の境内で、お稚児さんが、お稚児松明(お稚児さんの子ども松明)に点火する。この火が、次々に点火される松明の元火となる。文字通り、聖火リレーである。
午後8時すぎ。
太鼓の渡りが中間地点を過ぎた頃、お稚児松明・子ども松明を燃やした火が、1本目の大松明(ドンガラ)に点火される。
火を扱うのは、地元の消防団・自警団の若者たち。
今年は例年より松明が一本多いので、境内がずいぶん狭く感じる。
「ほかの松明はええけど、ほんがら松明だけには絶対飛び火させんなよ!『おまえが飛び火させたから…』て一生言われ続けるぞ!!」が、今年の自警団の合言葉になっていた。
50数年ぶりに復活した「ほんがら松明」の存在感が若者にまで伝播し、同時に村の長老たちへの畏敬の念も助長される。いい意味でも悪い意味でもなく、ここにはまだ「共同体」が息づいていることが感じられた。
(つづく)