ちょうどアリオスを起点に周辺地域全体で現在開催中の、
アリオス・プランツ! meets KOSUGE1-16
コロコロまち双六 〜じゃんがら自転車プロジェクト〜
に参加することにした。
実は、このプロジェクトも、AAFのネットワークが活かされている。これについて詳しくはのちほど…。
さて、このイベントに参加するには、まず、アリオスで「じゃんがら自転車」をレンタルする。受付でレンタルの申し込みをすると、右の写真のようなセットを渡される。
マップ、サイコロ、サイの目と地域の身近なスポットを描いたイラストと指令文が書かれたたくさんのカード、自転車の鍵、注意書き、トラウザーバンド(ズボンのすそのチェーン巻き込み防止のためのグッズ)、これらを収納する透明のケース。
これらを使って何をするかと言うと…
「じゃんがら自転車」に乗ってまちに繰り出し、サイコロを振って、出た目のカードと対応する場所をマップで探してそこにたどり着く。カードによっては、その場所でしなければならないミッションが書かれている。そして、またそこでサイコロを振って次の目的地を決める。
—はやい話が、自分をコマにしたまち歩きすごろくゲームなのだ。
カードには、この企画をてがけたkosuge1-16さんたちが実際にまちを巡って感じた、まちのミクロな魅力が満載!!
ところで、「じゃんがら自転車」とは何か。
一見、どこにでもあるママチャリなのですが、後部の荷台に何やら取り付けられております(右の写真)。
自転車が走ると、この缶がリズミカルに音楽を奏でるシカケ。
「じゃんがら」とは、「じゃんがら念仏踊り」とも言い、このいわき市に伝わる郷土芸能で、地元の青年会が継承し、鉦、太鼓を打ち鳴らしながら新盆を迎えた家を供養して回る踊念仏の一種。いわき市無形民俗文化財。(Wikipediaより)
この自転車後部のシカケが奏でるリズムが、地元郷土芸能の「じゃんがら」を模したものだという。実は、小名浜へ海の幸を食べに行く道中、車の中でホンモノの「じゃんがら」のCDをずっと聞かせてもらっていたので、どれだけ巧妙なリズムを奏でてくれるか、かなり期待しつつ、早速自転車に乗ってみた。
で、実際に走っている映像がコチラ。
あちこちに苦労の跡が見える、なかなか巧妙なシカケではありますが、これが「じゃんがら」のリズムだとは、言われないと気づかないかも…(^^ゞ
道々すれ違う人々は、みんな、どこから音が聞こえてくるのかとびっくりしてこっちを振り向き、変なシカケを搭載したママチャリ軍団を、奇異なまなざしで見つめるばかり。
ならばいっそ、「アリオスプランツ!コロコロまち双六〜じゃんがら自転車プロジェクト〜」とでもでっかく書いたのぼりか何かを自転車にくっつけて走る方が、道行く人もこちらが何者か分かって興味も抱くだろうし、乗ってる本人も変人扱いされずに済むし、プロジェクトのPR効果も抜群で一石三鳥なのになぁ…、と思いながら、3人でまちなかを快走!!
道中、森さんにいろいろ見どころを案内をしてもらいながら、めざすは袋中上人が待つ菩提院!!
整備された新しい道から裏路地へ、さらに山手の閑静な住宅地へとじゃんがら自転車は進み、線路を越え、上り坂をのぼって、菩提院というお寺の山門に到着。
いわきの「じゃんがら」は、この地の出身である袋中上人が中国に渡ろうとして漂着した沖縄の民衆に、浄土宗とともに伝えられ、それが沖縄の「エイサー」の起源である、と言われているらしい。
そこで、このお寺の中に設置されたのが、AAFでもおなじみの沖縄の芸術集団・スタジオ解放区の林さんがいわきを訪れ、このお寺に鎮座する袋中上人の像に本場のエイサーの映像を見せる、という、とても興味深いアート作品を作ったのだ。
エイサーの映像は、上人像の後ろに張られた不織布のような布に裏からプロジェクタで投影され、なんとも幻想的な雰囲気。袋中上人も、にわかに脚光をあび、自分がつないだいわきと沖縄の縁がこのような形で現代に至るまでつながっていたことを知ってさぞかし喜んでおられることだろう。
そして、このお寺の奥さんがとても気さくな方で、このようなイベントを面白がって快く受け入れてくださっているのがよく分かり、それがとても印象的だった。
夕闇迫る菩提院をあとにして、じゃんがら自転車3人衆は坂を下り、まちなかへ戻っていく。そして、一軒の雑居ビルの前で自転車を停め、狭い階段をあがると、空き部屋の床一面に分解された自転車のパーツが迷路のように並べられていた。これ自体が「双六」になっているのだ。
早速、3人でサイコロを振って双六に興じる。
結果は私の優勝!! 客人に華をもたせてくださったか?!
すっかり真っ暗になったまちに、異様に甲高い音が響くじゃんがら自転車で再び繰り出し、一路アリオスへ。
音が鳴る自転車、双六でまちあるき、行った先での展示やゲームや…。
この企画、大人よりも子どものほうが絶対楽しめるんじゃないか、と率直に思った。
地元の子どもが自分たちの地域を知る、地域を知りながらさりげなくアートに触れる、そんな機会を提供できる企画として、小規模でいいので、一回限りではなく、今後も継続して毎年続けてほしいな、と思った。
あるいは、「コロコロまち双六セット」をアリオスのオリジナルグッズとして販売するのもアリかも?!
…なんて感慨にふけっているうちに、いよいよ本日のメインイベント「Alios Plants! × 映研 : いわき映画祭への道」がはじまった。
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