中野区競争の導入による公共サービスの改革に関する条例

中野区で「中野区競争の導入による公共サービスの改革に関する条例」が策定され、先に終わった区議会で可決、4月1日から施行された。同種の条例は、足立区の「足立区における公共サービス改革の推進に関する条例」についで、全国で2番目の条例である。この2つとも、いわゆる市場化テストを実施することを目的とした条例である。
国の市場化テストは「公共サービス改革法」にしたがって行われるが、自治体で現在行われているものは、法を踏まえたものばかりではない。また足立区は総務省との協議が難航し、2007年度の実施は予定されていない。中野区も、どの事業を市場化テストの対象にするのかはまだ決まったわけではない(条例では具体的な事業はあげられていない)。
市場化テストとは何かといえば、次の条件をそなえたものといえる(全部またはいくつか)。
① 官民競争入札または民間競争入札(官は初めから参加しない)
② 民間事業者等からの提案
③ 第三者委員会の設置(法による場合は必置)
④ 議会議決(条例策定以外はまだ少ない)
自治体の市場化テストを分類すれば次のようになる。
1 「公共サービス改革法」にしたがい、条例を策定して実施(現在は窓口6業務と法定受託事務である指定統計など)
2 法によらず、独自に実施(条例は中野区のみ、多くは要綱など)
3 事業の委託ではなく官民の「協働事業」を実施
足立区は1、中野区は1と2、すでにモデル事業として官民競争入札を実施した東京都(公共職業訓練)は2に分類される。1、2とも民間事業者が事業を実施する場合には、事業の委託になる。「協働事業」は、狭義の意味では市場化テストとはいえないが、「公共サービスの改革」ということから市場化テストに入れる場合がある(佐賀県は協働化テストといっている)。
市場化テストはまだ始まったばかりで、国や実施自治体がいうように「公共サービスの質の維持向上」に本当につながるのかどうか。自治体はもちろんのこと、市民のチェックや監視、評価がかかせない。

中野区の条例は下記にアクセスを。
なお下記のサイトは中野区議会のものである。中野区のホームページには何も掲載されていない。「公共サービスの改革」を謳う条例の制定過程などがまったく区民に知らされていないのは、区長サイドのトップダウンが理由であると考えられる。条例はその目的や内容が大切であることは当然であるが、制定過程の情報公開と市民の参加・参画もきわめて大事なことだ。それがないがしろにされていることを、区のサイドや議会、区民はどう考えているのだろうか。
http://kugikai.city.nakano.tokyo.jp/gian/gianhonbun/h19/2007033.pdf